3年前から乗っている2003年式GSX1300R隼
今に至るまでに故障に纏わる“大トラブル”はこの一回だけ。
今回はそのお話(^^;
隼のエンジンって物凄く不思議なんですよね…
こと旧型(1999~2007)は特に。
まずベースとなったエンジンがGSX-R750‼
そう。ナナハンエンジンがベースでシリンダー間隔が僅か7mmまで追い込まれての1299㏄で175馬力を発揮する
それを聞くと「そんなエンジン、ヤワなんじゃ?」って思いがちだけどフォーミュラマシンなど用途こそ限られるが4輪への転用も積極的に行われた強靭なエンジン
それでいて燃料はレギュラーガソリン(※現行型はハイオク指定)でOKとかいうワケわかんないエンジンです。むしろウチの隼はハイオク入れると調子悪いという不思議ちゃん
そして乾燥重量215Kgと意外に軽い車体だからオーバースペックもいいとこ
で走行距離10万キロ超えの隼がゴロゴロ居たりするんですよね
要はそう簡単に壊れないんです。このバイク
初めての大トラブル “クラッチ、逝った”
それは今年の8月、バイク仲間たちとバイクイベントを楽しんだ帰りの高速道路上での出来事。いつもは集団の中間から前方に居るんだけどたまたま最後尾に居た。コレが本当に幸いした…
突然【ガガガガガガ!!!】って異音が発生すると同時に勢い良くエンジンの回転数が跳ね上がった。クラッチが滑って70km/h以上出ない!
集団の巡行ペースに付いて行けずスローダウン…
ひとつ前に居た仲間がしきりに後方を確認するのが見えたけどココは高速道路上。仲間を危険に晒すワケにはいけないと思い手を振ってバイバイした気がした。幸い仲間たちは皆そのまま行ってくれた
「これでいいんだ。メッチャ寂しいけどwww」冷静かつ楽観的に陽気に気持ちを取り繕いながら次のパーキングを目指しましたw
※後に知ったけど自分のひとつ前でしきりに後方確認してくれてた友人がメチャメチャ心配してくれてた💦おかげで「また隼で一緒に走りたい!」って、後の修理作業の励みになりましたよ♪
パーキングへ向かう途中、【ガガガガ・・バキッ‼】って音の後急にクラッチの調子が戻り普通に加速出来るようになった。隼に何が起きてるのか謎ではあったがそのまま走行してパーキングで確認…
あ、クラッチカバーの変な所からオイル漏れてる(*_*)
んー…このままどっかホームセンターでオイル買って継ぎ足しながら帰ろうかな?
しかし本線に戻るとまた滑る感覚。これはクラッチじゃない。タイヤ滑ってる‼
タイヤがオイルまみれ。もうこれは自走を諦める他ない状況でしょ…
潔く自走を諦めて高速を降りる…が、望みはまだある。たまたまではあるけどこの近くにバイク乗りの友人が住んでる‼
もし家に居たら隼を置かせてもらおう。そして上下レザーのバリバリバイク乗りの格好で電車で帰ろう…そう覚悟を決めました。この時点で自宅まで130kmくらい(笑)
奇跡的に友人は自宅に居て事なきを得た!
その上…
友人の大切な愛車を貸してもらえる事に…(´;ω;`)ホントありがとう
それから2日後には積載車で隼を交換しに行って早速、現状の把握と修理を開始するのでした
隼、クラッチ故障の現状把握
前置きが長くなりましたがココからが本題ですw
先ずはクラッチカバー外側でボルト3本で留まってるカバーが浮いてそこからオイル漏れてる。このカバーを外してみると…
マジかよ何この穴?!
しかも…
穴を覗き込むとクラッチとカバーの間になんか居てはいけないモノが居る💦
早速エンジンオイルを抜くとキラキラとしたクリーミーなオイルが出てきた
うん。コイツぁヤバイ。
クラッチカバーそのものを外すと…
クラッチスプリングとそれを留めるボルトが消失していた。コレが抜けたんだ‼
この部品が何らかの原因で抜けてクラッチとクラッチカバーの間に挟まり、クラッチが強制半クラ状態になった。そして挟まっていたモノがクラッチカバーを突き破りながら下に抜けてクラッチの調子が回復したんだ。
しかし不幸中の幸いでこの部品及び破片の大部分はクラッチカバー直下で留まってた
この破片が全部エンジン側に流入していたらもっと酷い事になっていたでしょう
その先、オイルパンに落ちる前段にミッションが丸見えになる部屋があるのです。幸いにもミッションギアへの異物噛み込みは一切無いようだった。
ミッションまで逝ってたら自力での復旧は諦めてたかもしんない
コレが摘出した部品の全て。クラッチスプリングとボルトにそれを留めてる部分。あとはクラッチカバーの破片。
余計な場所に回らなくてホント良かった💦
現状の把握完了。原因は?
結局のところ、原因はクラッチスプリングボルトが緩んで抜けた
これに尽きます。なぜ緩むか?それはスプリングっていうモノは全て、伸び縮みすると少なからず回転する特性があるのです。この症例の場合は長年その回転運動が蓄積で緩んだのかなと。
現に6本中1本が抜け、他3本が手でも回るくらい緩んでました。
珍しい症例と思いきや、ネットで調べると隼でクラッチスプリングボルトが緩むって症例は少なからずあるみたい。
現行型でもその症状は起きていてある年代からクラッチスプリングボルトは緩み対策品の半固形の緩み止めが塗られているモノに置き換わってるとの情報でした。
そう。それ以前の隼のクラッチスプリングボルトは緩み止めが塗られていない‼
クラッチ破損。その対策を取る!
ウチの隼も当然ネジロックの部類は付いてなかったので組む際には永久ロック系の強力なヤツでガッチリロックです
ハァ…しかしこんな単純な所が原因でエンジン全損の危機だったとは💦
ちなみに、このボルトがまだクラッチカバーとクラッチの間に挟まって異音がしていた時に大量の切子が出た模様でオイルストレーナーはもちろん、オイルクーラーにまで微細な金属片が流入していました。
ちなみにオイルエレメントは詰まって内部圧力が上昇するとリリーフ弁が開き、未ろ過のオイルがエンジン全体に行き渡ってしまいます。
この状況でそうなったらもうエンジンは全バラオーバーホールになる事でしょう…
幸い今回はリリーフ弁が開いた形跡無くてホント良かった💦
ちなみにオイルクーラーは外して高圧洗浄機でガンガン内部を洗いました。そこまで徹底した洗浄をした後よーく乾燥させて全て組み上げましたね。
その後はフラッシングオイル→エンジンオイル入れて短距離運転→そのまますぐ本チャン用エンジンオイルに交換といった具合にエンジン本体内部を洗浄しました。
結局、修理で交換したのはクラッチアッセンブリー一式とクラッチカバーに各ガスケット類…といった所でした。
ちなみにクラッチは別にアッセンブリー一式で変えなくても良かったですね(^^;
今思えば破損個所だけで良かったと思います。今回はたまたま中古で程度の良いアッセンが買えたので一応…
結局このトラブルって…
今回は色々と良い条件が重なって自分的には意外と軽傷だったかな?という結果に落ち着きました。
しかしあんな所が緩むなんて…少しショックでしたね。だって普段の点検じゃ絶対確認しない&出来ない所ですもん💦
少しでも多くの隼乗りにこの事を知って頂きたい。
結局古い隼ならどの個体にも起こりうる事だ💦
とりあえず…
その後は何事もなかったかのごとく復活していつも通り私を楽しませてくれてます♪
クラッチは対策取ったから。もうその心配は無い!…かな(;´∀`)